【熟成肉】の作り方!家で作る熟成肉は危険!?熟成肉はプロの仕事

数年前から熟成肉ブームに火が付き、お肉業界も大きく変化しています。

鮮度の高い上質で口に入れたら溶ける黒毛和牛はとにかく美味しいです。

一方で赤身肉の多いホルスタイン(乳用牛)や経産牛(子を産んだお母さん牛)、輸入牛などを熟成し、旨味を増加させ付加価値をつける熟成肉も多くの方の支持を得ているのは事実。

そんな熟成肉は自宅でも作れるものなのか、そして本当に美味しい熟成肉はどのようにして出来ているのかを徹底解説します。

牛肉以外にも豚や鹿など熟成肉はたくさんありますが、今回は牛肉について解説しています。

この記事の目次

そもそも熟成肉とは?

熟成肉に関して国が定めた定義はないです。

「熟成肉ってどんなお肉?」

に対する返答は一定期間、ある条件を満たした環境で寝かせて旨味を凝縮させたお肉のことです。

 

多くの飲食店でも熟成肉が提供されていますが、定義がないためお店側が熟成肉と言えばそれは熟成肉になります。

ただ、熟成と腐敗が混在しているのも事実。

熟成肉を食べたいと本気で思う方にお伝えします。本物を見極めたい方は読み進めて下さい。

牛肉の自由水

牛肉に限らず食品には水分が含まれています。

その水分は構成成分のたんぱく質や炭水化物と固く化学結合した結合水、温度や湿度など環境の変化によって自由に移動や蒸発がおこる自由水に分かれます。

乾燥熟成では余分な水分を飛ばし自由水を上手にコントロールすることで、特定の微生物を繁殖させ旨味を閉じ込め美味しい熟成肉にすることができます

ただし設備や環境が整っていない状況で熟成工程を行うと、牛肉が腐敗に向かっていくので注意が必要です。

熟成肉を作る3つの方法

熟成肉を作る方法は大きく分けて3つ。

作り方に関してはそれぞれ独自の方法で、牛の品種・部位の特性などによって変わります。

それぞれの方法を見ていきましょう。

ドライエイジング

骨付きまたは骨無しのブロックのお肉を専用の冷蔵庫に入れ、温度と湿度を保ちながら強い風をあてて乾燥熟成する方法をドライエイジングといいます。

温度は約2℃前後(1℃~3℃)、湿度は約70%~80%に保つ環境が必要になります。そして特定の微生物を付着させ、強い風を当てることで余分な自由水がじわじわと表面に出てお肉の旨味を凝縮させます。

凝縮されたタンパク質を旨味成分のアミノ酸に変え、繊維がほぐれることによりお肉の食感も柔らかくなります

熟成期間はお肉や環境にもよりますが、約30日~60日が理想と言われています。

ドライエイジングを行うには、温度と湿度が一定に保つことが重要。

 

熟成庫のような専用の場所があり、扇風機のような風をおこす機械も必要になってきます。

常に状態を確認しながらタイミングを見計らう必要があるため、素人にはかなり難しいです。

ウェットエイジング

小さく小分けにしたお肉を乾燥させずに真空パックして熟成させる方法をウェットエイジングと言います。

ドライエイジングに比べ場所やコストがかからず簡単なため一般的になっています。飲食店でもこの方法で作って提供しているところが多いです。

ただし真空パックした牛肉は柔らかさは増しますが、風味が良くなることはほぼありません。

時間の経過とともにドリップ(血汁)が出てしまうため、旨味が減少していきます。

簡単に作れる分、本当に美味しい熟成にするには難しいと言えます。

枯らし熟成

日本で昔から使われている方法が枯らし熟成です。

牛肉を枝肉(小分けにする前の大きな牛肉)のまま約1か月ほど熟成させる方法です。

ほどよく水分が抜け、独特の香りが出るため良いですが、熟成させる専用の場所が必要なのが注意点です。

作業効率が悪く、非常に手間がかかり利益率が悪いため、今では枯らし熟成を行なっているところは少ないです。

素人が手を出せる領域ではないです。

熟成肉に欠かせない3つのポイント

先ほどもお伝えしましたが、熟成肉にするための重要なポイントは3つ。

1.温度管理

  約2℃を常に維持できる環境が必要

2.湿度管理

  約70%~80%を維持できる環境が必要

3.強い風

  風を常に送り続ける環境が必要

 

新鮮なお肉と熟成肉を同時に同じ場所で保管するのは難しいです。

なのでそれぞれ専用の場所が必要になるため、精肉専門店でもなかなか出来ることではありません。

熟成と腐敗は紙一重

熟成肉は肉の中に含まれる酵素によってたんぱく質が分解されます。

一方、腐った肉は肉の外側を細菌によってたんぱく質が分解されます。

似たような表現ですが、意味合いが全く違います。

 

熟成肉は時間を置くと本来は腐敗に向かうお肉を、しっかりコントロールすることで発酵に向かわせたものです。

温度、湿度、微生物の種類など条件がことなれば熟成肉から腐敗肉になってしまうため、作る側も食べる側も注意すべき要素です。

本物の熟成肉

実際にいろいろな状況や条件をクリアした熟成肉は、何もしない牛肉と比べて何がどのように変わるのか。

1.深い味わい

  鮮度の高い牛肉にはないお肉の味わいが出ます。旨味が凝縮されて食べたあとにじわっと旨味が口の中で広がります。

2.独特の香り

  正しい熟成が行われているとナッツのような香りがします。熟成期間が長ければ長いほどナッツの香りも強くなります。食べた後に鼻からかえってくる香りは格別です。

3.見違える食感

  熟成させる牛肉は赤身が多い牛を使用することが多いです。部位にもよりますが和牛に比べキメが粗く肉質は硬めです。そんな牛肉を熟成することによりジューシーで柔らかいお肉に変化します。

 

熟成肉は自宅で作ることは可能?

順番に説明してきましたが、結論として熟成肉を自宅で作るのはかなり難しいです

条件を満たさずに適当に作ってしまうと腐敗したお肉になります。

腐敗したお肉を食べると食中毒にもつながるため、非常に危険なのでやめましょう。

専門技術を持った経験のある専門店で食べることをおすすめします。

それを見極めるのは非常に難しいですが、安心できる内容をHPや販売ページなどで情報発信している店舗をおすすめします。

まとめ

熟成肉とは作り方はもちろんですが奥の深いものです。

一時のブームから考えると提供するお店が減っているのは、現実的に管理や維持をするのが非常に難しいからだと思います。

だからこそ今残っているお店や、経験や知識を踏まえてこれから出そうとしているところを注目すべきです。

見よう見まねで自宅で簡単に出来るものではないので、決して熟成肉を簡単に作ろうとはしないでください。

安全に安心して最高の熟成肉を食べる手助けになれば幸いです。

【お肉なび】では安心安全なお肉を食べられる情報を発信していきます。

最初のコメントをしよう

必須